青い夏の夢を見る

日記と読書備忘録

『ノワール・レヴナント』浅倉秋成/角川文庫

 不思議な能力を持つ4人の主人公たちが、ある少女の死の謎を解き明かす群像ミステリー。

 初読み作家さん。装飾された文章を書くタイプの作家だ! と嬉しくなりぐんぐん読みました。Kindle Unlimitedで気軽に手に取ってみたのですが、めちゃくちゃ面白かった! やっぱりどんどん真相に近づいていく話はわくわくして楽しいですね!

 

 電子書籍で読んだので体感の話なのですが、たぶんこの小説めちゃくちゃ分厚いぞ。Kindleは読了時間を予測してくれるのですが、「クライマックスだ!」と思ったときに『読み終えるまで:50分』と出て目を疑ってしまった。長いけれど謎が気になってどんどん読んじゃうし、文章も読みやすかったです!

 主人公たちの癖が強い、というか地の文がうるさいんだけど、なろうで鍛えられた私は余裕でした。後半になるにつれ大人しくなるので、最初でめげちゃうのは勿体ないぞ。

 

 以下、感想です。ミステリーなのでネタバレ注意。

 

群像劇は記憶力が大事

 章タイトルで宣言されてたとおりの少し長めのプロローグを読み終わり、「先が気になるな……」と期待が高まる中、主人公4人の名前を一人も覚えていないことに気付き爆笑してしまった。さすが私! キャラの名前は字面でしか覚えないタイプの人間!

 群像劇、私のようなタイプの人間はちょっと苦戦しますね。一人称だと主人公の名前ってなかなか出てこないじゃないですか。相手との会話がないと。うーん、覚えれないね~。

 でもキャラ読み派でもあるので、一人ひとりに焦点あててくれるのは嬉しい。

 

恋愛要素あって嬉しい

 プロローグで「このまま弥生の幸福度が85な件について、もう少し詳しく言及していかないか?」と思ったのですが、まさかの理由があって笑ってしまった。これは思わずにっこり。

 葵と江崎の距離感、そんなん好きに決まってるじゃん。二人で出かけたときから、ずっと「あるな?」と思ってました。センサーついてる。

 

ストーリは重め

 先の展開が全然予想できなくて翻弄されながら読んでました。

  会社に侵入するシーンと、カジノで大暴れ(?)するシーンがめちゃくちゃわくわくしましたね! 高校生とは思えない手際っぷり。ちょうど良いハラハラ感。それぞれ自分の特殊能力を使いこなしていて気持ち良いです。適材適所。個人的にはのんの能力が羨ましいなー。

 4人がお告げの最後の言葉を自分なりに見つけ出してるのが面白いなぁと思います。

 

 というかこの小説、主人公たちがどんなに無茶してもお咎めなしの優しい世界だと思ってたから、おじさんがホテルに乗り込んできたときマジで怖かったよ。そのままそこで暮らし続けるの心臓強すぎるでしょう。

 

 物語の真相については何とも言えないですね。大須賀、将来気を付けて、としか言えない。そして大須賀のマンションの隣に住んでいる夫婦のことを考えると、やりきれない気持ちになってしまうよ……。

 

長いのはプロローグだけじゃない

 全体的に長いです。でもそれすら気にならないくらい面白かった! なにしろ4人分の話を展開するから、そりゃ長くなっちゃうよねー。

 初読み作家さんだったけど、面白かったので他のも漁ってみたいと思います。

 

 ほんのり恋愛要素があるミステリー、好物すぎる。