図書館をきっかけとして、前向きに歩き出す人たちの短編連作集。
毎日一話ずつ読み進めるのがちょうど良い、優しい気持ちになれる物語でした。
様々な立場や年齢の主人公がいるんだけど、総じて「自分から一歩踏み出すことの大切さ」、「自分の何気ない行動が第一歩目になる」、「一歩踏み出したという自覚が自信に繋がる」などのメッセージ性を感じました。めっちゃ良かった!
以下、ネタバレ注意の感想になります!
謎に溢れた小町さんにも歴史がある
小町さん、人生何週目ですか????
そう思っちゃうほど不思議な司書さんだけど、読み進めるにつれ、彼女の趣味や人となりが知れて楽しかったです。小町さんのことを知るたび、主人公キャラと同じように驚いていた気がする。最初の印象とは違って意外とお喋り! ちなみに私は「らんま」という単語が出てきて心が騒つきました。物心ついたときから家にあった漫画……!
羊毛フェルトの説明も、主人公キャラたちごとに違っていて楽しかったです。手芸っていいですよね~。
毎回の如く小町さんが主張していたことが印象に残っています。
「私は本を紹介しただけで何もしていない。その本を借りたのも、それを読んで何かを感じ取ったのも、全部あなたが自ら選んで行動したことだよ」(意訳)
第一歩目はどこにあるか分からない。けれどその一歩は、確かに自分が踏み出した一歩である。このことを、忘れずに生きていきたいですね。
サンタクロースは存在しないけれど
年齢も立場も違う主人公たちの物語を見て、「私も人生懸けれるような趣味ほしいなぁ」と思ったり、「本の思い出補正ってやっぱりあるよね」、「今は仕事やらないで済むならそうしたいけど、いざ定年を迎えたら戸惑うだろうなぁ」なんて思ったりしていました。
一番好きな話は、夏美かな! 一児の母の、思い通りにいかない現状の話。
というか、最初のサンタクロースの話にかなり心を持っていかれました。誰もがサンタクロースはいないと知っているのに、この世からサンタクロースが消え去ることがないのは、幸せなことなのかもしれないね。
小町さんの「人生で一番頑張ったのは出生時」論も面白かったです。赤ちゃんってやっぱり生まれてくるとき苦しいのかな……。
ちなみに浩弥の話の、花束とお給料を母親に渡したところで泣いちゃいました。感情移入しすぎて……。お給料を押し返すところが、母親だなぁと思います。
図書館はやっぱり良いところ
小説しか興味ないので図書館のレファレンスサービスを利用したことがありません! でも司書さんの知識量って気になりますよね……。書物ってヤベェ量あるのに、どうやってレファレンスしてるんだろ……?
図書館には小説目当てでしか言ったことないのですが、この物語では絵本やら図鑑やら出てきて「そういうのもあったな」という気分になりました。
今度のぞいてみるか……?