青い夏の夢を見る

日記と読書備忘録

『キネマ探偵カレイドミステリー 全3巻』斜線堂有紀/メディアワークス文庫

 探偵が家に引きこもって映画を見てるタイプのミステリー。バディもので語り手はワトソン君! キャラクターが魅力的で、あっという間に3冊読み切っちゃうほど面白かった!

 ほとんどが一話完結の話ばかりだし、斜線堂先生の文章なのでめちゃくちゃ読みやすかった!

 私はまっじで映画見ないタイプの人間なんだけど、それでも全然楽しめました。けど絶対映画詳しい人の方が楽しめるんだろうなとは思うので、少し悔しい。機会があれば観てみようかな~。

 

 以下、3巻通してのネタバレありの感想です。ミステリーなので、マジのマジでネタバレ注意!

癖の強い魅力的な登場人物たち

 主役二人の距離感がめちゃくちゃ好き!!!!(大声)

 

 関係性オタクにはマジで堪んない作品ですね。嗄井戸がわりと最初から奈緒崎くんのこと大好きなので、私は終始ニッコリしていました。奈緒崎が映画に興味を持ち始めているの、めちゃくちゃ嬉しそうで笑う。

 嗄井戸のこと、「ムカつくけど可愛い奴め……」の気持ちで読んでたけど、絶対奈緒崎くんも私と同じ気持ちだからな。わかるよ、私には。

 

助けてくれ奈緒崎くんのことめちゃめちゃ好きだ

 1巻のときから薄々、「奈緒崎くん……好きかも……?」って思ってたんだけど、2巻を読む頃には「私はこんなに奈緒崎くんのこと大好きで付き合いたいのに、奈緒崎に惚れる女キャラが現れないのおかしいだろ」って強気に出ちゃうくらい好きになってしまった。

 奈緒崎、二次元の男としてふつうにズルくない……? コミュニケーション力高くて行動力があるところ好き。男子大学生って感じする。たまに詩人みたいなポエムを挟むところが本当に面白くてズルいと思います。斜線堂節。斜線堂先生の書く文章ってリズム感良くて思わず口に出したくなっちゃうよね。

 私は奈緒崎くんと夢小説できるけど、束ちゃんが立候補するっていうなら私は喜んで奈緒崎くんの隣を譲るよ。キッチュでキュートな束ちゃんのこと、スペシャル大好きなので。ちなみにキッチュの意味を存じ上げなかったので調べました。調べたけど、今も言葉の意味をよく分かっていません。

 束ちゃんのこと、「スペシャル可愛い」って素直に思ってる奈緒崎くん、めちゃ良い。何がいいって「スペシャル」って単語の使い方、完全に束ちゃんから影響を受けてるから。

 

フィクションの世界だから許せること

 2巻までは奈緒崎のこと、無条件に「光の存在だな」って感じてましたが、3巻を読んだ後は「〝嗄井戸にとって〟光の存在だな」と考えを改めました。そういえば1,2巻でも、終幕に引っかかるところあったな。

 この物語のハッピーエンドは、主人公である奈緒崎の感性に依存してるんだなぁと思いました。奈緒崎が許せば、誰かにとって不都合な〝事件の真相〟は暴かれることはないし、奈緒崎が許さなければ断罪される。法ではなく、奈緒崎が良しとした手段で。

 だとしても、奈緒崎目線で語られるハッピーエンド、私にとっては所詮フィクションなので、すべてを許すし、楽しく読み切りました。斜線堂先生って感じの終幕だったなぁ。

 

 そういえば斜線堂先生のブログで、彼の友好関係が分かる短編が載ってるらしいですね。まだ全てを読んでないのですが、それを聞いて「うわぁ、鬼……」と感じちゃった。やっぱりそこを言及するってことは、読者が引っかかるの、気付いてました?

 

この三人、優勝です

 だいぶ前に読了したので、メモを見ながらこの感想ブログを書いています。「えーーー、この三人、優勝です」というメモに、今めっちゃ頷いてる。「お兄さまもキュートじゃない?」とかいうメモもあった。9割がキャラクターに関する感想メモ。私らしい。

 

 めちゃくちゃ面白かったな~! 斜線堂先生の文章、本当に好き。ブログの番外編も、多作品も読んでいきたいと思います。