10歳の百音と、血の繋がらない父である統理と、隣人の路有。三人の穏やかな暮らしと、生きづらい人々の話。
百音ちゃんがとにかく可愛い!! ひたすら可愛い!!!!
でも思ったよりしんどい話だなこれ!!!!
一話目を読むと、「これはほっこり系短編連作かな?」と思うじゃないですか。全然違った。つらすぎる。
確かに綺麗な話なんだけど、何かが欠けていると自覚している人間にはグサグサ刺さる話すぎて……。生きづらい世界を、容赦なく見せつけられるしんどさ……。
ただそんな世界でも、子どもの百音ちゃんはまだ見ぬ未来への期待でいっぱいで。
大人たちが生きづらい世の中を理解している一方で、百音ちゃんの世界は今も未来も希望で満ち満ちている。百音ちゃんの見る世界を守ってあげたい……、それで大人の私も救われる。そんな気がしました。
以下、ネタバレありの感想です! 読了後推奨!
この物語の希望、百音ちゃん
もうかわいすぎるんよ。最初から!
百音ちゃんの取り巻く環境が幸せ過ぎて、それだけで本当に救われる。そうやってたくさんの愛情をたっぷり受け取って育っていった百音ちゃんが、たくさんの夢を抱えて素直に無邪気に生きてるの、本当に尊いよ。
百音ちゃんが思ったことを素直に発言するの、めっちゃ可愛い。統理が大事に、百音ちゃんの些細な言葉も零さずに向き合ってきたんだなって感じる。
うわ~統理との関係もめちゃくちゃ良かった! 路有との関係も! 人との関わり方は人それぞれで、他人がアレコレ口出すもんじゃないよね。
統理、人の記憶に残るような言葉をたくさんかけているのに、本人はその発言を忘れてるところが良いと思います。きっと統理にとっては、当たり前のことで何気ない発言なんだろうね。それに救われる人もいる。
生きるのが疲れたときに、百音ちゃんみたいな希望の塊を見たら元気が出るだろうな。子供って素晴らしい。
大人になればなるほど見えてくる、世界の生きづらさ
どの話もめちゃめちゃつらかった。
周囲の人のさぁ、自覚なき悪意が本当に怖いよね。私も誰かに酷いことを無意識で言ってるかもしれないって考えると恐ろしくなってくる。気を付けよう……。
私自身が人付き合いや恋愛に関して欠けているものがあるな、と自覚している人間だから、『あの稲妻』は読んでいて本当にしんどかった。きっと人の悩みってそれぞれで……。本当にひどいこというけど、私はこの話読んで、そんな幸せな記憶があるだけで十分じゃないのって思ってしまった。本当にひどいね。
逆に私は超適当で息抜きしまくりの人間だから、あまり追い詰められることのない幸せ人間です。『兄の恋人』を読みながら、人生に期待してない私って本当にメンタル強いんだろうなって思いました。
私の周りにも「もっと肩の力抜いたら」って思うような友達が何人かいるけど、でもその子たちに伝える言葉なんて、見つからないんだよね。私の友達には、ずっと楽しく、気楽に生きていてほしいのに。
私は健康だけど、待てなかった彼女のことも責められないなって思ってしまいました。私は酷い人間なので……。いつでもだれでも先行きは不安なのに、他人のことまで丸ごと背負うのって、本当に難しいよね。
読みながら自分のことをいろいろ考えてしまう話
とまあ、読みながら自分のことを考えてしまってしんどかったんだけど、そんな中、百音ちゃんは輝いてました! 路有のこと慰めてるシーン、本当に救われたね。
凪良ゆうさんは初読みなんだけど、会話のテンポが好きだなぁ! 言葉選びも可愛くて、面白くて好き。他の話も読んでみようと思います!