青い夏の夢を見る

日記と読書備忘録

『エチュード春一番 第一曲 小犬のプレリュード』荻原規子著/角川文庫

 喋るパピヨンを拾った主人公の、ちょっと不思議な大学生活のお話。

 荻原規子先生の小説は、『RDG レッドデータガール』シリーズ、『西の善き魔女』シリーズ、『空色勾玉』、『これは王国のかぎ』、『樹上のゆりかご』などを読んだことがあります。

 1年間で上記の作品を全部読んでしまうくらい、大好きな作家さんです。

 

 今回のお話も、主人公の複雑な心理描写が丁寧に描かれていて、「これぞ荻原先生だ~!」とにっこりしながら読了しました。

 もやもや悩む女の子の心理描写、楽しい~!

 

 以下、感想になります。明言は避けてますが、ネタバレもあるので読了後推奨です。

 

荻原先生が描く女の子らしい主人公

 大学生なりたての女の子が主人公!……なんですが、言葉遣いや考え方がそこら辺の大人よりしっかりしてるのでちょっぴり違和感。

 でもごちゃごちゃ悩んでる女の子が自分なりの答えを出すっていう話が私は大好物です。いっぱい悩め~!

 

不意打ちをくらう

 「可愛らしい話かなぁ~」なんて気楽に読んでたんですけど、途中から不穏な空気が流れてきたので題名を二度見してしまいました。ちなみに私、唯一読まないジャンルはホラーです。不意打ち。

 『RDG』を読んだ時も思ったけど、荻原先生って正体の分からないものに対する〝恐怖〟の感情表現が上手すぎませんか??

 真相はこうだろうな、と予想していたものの、あまりにも恐怖の感情が差し迫っていたので、「え? ほんとにそっち?」ってなってしまった。

 

パピヨン(神憑依)の神様論と幽霊論

 喋るパピヨンの神様論、幽霊論が面白かったです。まあコイツの存在のせいで、主人公と私の思い込みが加速したんですけど……。

 神は人間のために何かすることはなく、ただ自由気ままに存在するだけ。神が役に立ったと感じるのは、人間が勝手に解釈してるだけである。

 私たち人間は、この命が終わるのが怖くて怖くて仕方ないから、死んだ先にある幽霊という存在を作り出す。本当は幽霊じゃなくて死が怖い。

 う~ん、なるほど。素直に納得しました。普段考えないことを考えさせられる小説、最高か。

 

パピヨン(無憑依)が可愛い

 喋るパピヨンは偉そうでふてぶてしいけど、憑依されてない状態のパピヨンが無邪気でめちゃめちゃ可愛かったです。散歩に大喜びなパピヨンかわいい……。

 最後にはかなり調整が終わっているような感じでしたが、たまにはただの可愛いパピヨンになって頂きたい。

 

パピヨン(神様)の今後が気になる

 シリーズものなので、今作は序章感満載。

 この世界の神様とはどういう存在か、ということを示し、次回に続く、という感じですかね。

 神っていう存在の理不尽な感じ、荻原先生感あってとても面白かったです。

 

 パピヨンの神様っていう字面、強い。