息しづらい、生きづらい世界の海で、それでも必死にもがいて泳ぐ人たちの話。
良、良、良!!!!!
町田そのこさん初読みだったんだけど、めちゃめちゃ良かった!!
解説にもあったけど、なんという筆力……!! まじで良いので全人類読んでほしい。
他の作品も読もうと決意しました。あ~余韻!!
以下、がっつりネタバレしています。読了後に読んでください。
生きづらい、息づらい、息しづらい
言葉遊びが大好きです、私。
生きづらいと息苦しいをかけて、海の生物に例えている。それがテーマなのかなと、私は勝手に思っています。
息苦しいけど、それでも必死にもがいて生きなければならない。その場所から飛び出てたり、苦しいけどその場に留まったり。短編連作なので、主人公たちのたくさんの選択肢を見ることができて、本当に楽しかったです。
恋愛描写が多くて私は嬉しい
あらすじを読んでいないので(?)、初っ端からこんなに心臓潰れそうな恋愛小説が来るとは思ってなかったんですよ……。歓喜しました!
女を守るために息苦しい環境でなんとか留まっていたけど、他でもない自分が女を傷つけてしまうことに気付いて去っていく男。本当に、本当にこういう男たちは……女の気持ちも考えず……。
最後の暗喩を信じたくなくて、絶対ないだろうなと思いつつ、小説を読み終える最後の最後まで再登場を望んでいました。
そして啓太がいい子過ぎて、二十歳過ぎの大人、泣いちゃう。
こんな子供が必死になってこの世界を泳いでいるというのに、私ったら一体何を……、という気持ちになりました。
短編連作なので、視点を変えられるのが良い。1話目ではサキコに感情移入してたけど、啓太目線になると「しっかりしろ、サキコ!」という気持ちになる。二度おいしい。
電車で読んだら詰む
電車の中で読んでいて、「うあー、泣きそう……」って思いつつも続きが気になって止めれなかった。普通に泣きました。
沙世の環への感情が、ただきれいなだけじゃなくて良かった。不幸自慢、したくなってしまうのが人間なんだ。
将来の居場所を決定する恐怖
主人公ほどの衝動じゃないけど、社会人になってだんだん感じてきました。将来への恐怖。
この場所で、私は死ぬまで働き続けて、生きていくの? って。
別に積極的に変えたいとかは思ってないんだけど。ただ、ここじゃないどこかに、もっと幸せな場所があるんじゃないかって、もっと良い生き方があるんじゃないかって、夢見ちゃうよね。
最後の話はずっと泣いてた。本当に、全部の話が良かった。
最初の一文が素晴らしい
解説でそれぞれの話の最初の一文が並べられていたんだけど、改めて読むととても惹かれる文なんだよね。ページをめくる気持ちになるような。
全部の話が本当良くて、大満足です。
積読リスト、また更新です。