青い夏の夢を見る

日記と読書備忘録

『失はれる物語』乙一著/角川文庫

 ちょっと不思議で不穏な短編集。

 読みながらずっと号泣していた話もあれば、グロくてちまちま読んでた話もある。

 短編集だからこそ、話によっていろんな気持ちになれて楽しかった!

 でも総じて、気味の悪さを感じたというか、人間の残酷さが描かれていてゾッとしました。

 

 以下、感想になります。ぼやかして書いているつもりですが、ネタバレ注意です。

時代を感じる

 携帯を持ちたくて仕方ない高校生に、時代を感じて苦しくなりました!(20代女性)

 ちなみに私は高校生から携帯を持ち始めた人間です。今の時代は子供の頃からスマホを持っていて、スマホでの人間関係でいろんな問題が生まれそう。

 いろいろと面倒くさそうなので、生まれたのがこの時期でよかったと思ってます。(何の話?)

 

 ちなみにこの話、割と終盤まで狂気的な主人公ね……って思ってた。違った。普通にファンタジーだった。

 ありのままの表現を受け入れることも、大切!

 

あっちもこっちも、ひどい世界

 表題作は最初から最後まで永遠と泣いてた。電車で読もうとしてすぐ諦めたヤツです。主人公の思いが、誰にも届かないのが悲しかった。

 「傷」も、主人公たちが子供なこともあって本当につらかった。

 最後の選択に良かったと思うけど、いや良くないんよ!? そんな状況にした世界が!!

 

 そして急に泥棒主人公が始まってびっくりしました。

 めちゃめちゃ突飛な話で笑った。泥棒しようと決意したところはヒヤヒヤしたけど、これはコメディってことでよろしいですか!?

 最後に得意げにする彼女が可愛い。突然のフラグやめてほしい。私が喜んでしまうよ!

 

 この小説の中で1番好きだなぁと思った話は「しあわせは子猫のかたち」。

 ちょっと不思議な共同生活、楽しかった! でも私だったら絶叫して逃げてた! ホラー怖い。

 

パンツ……?

 なんだろ、何か読んだ気がするけど気のせいかな、、??

 

ミステリーは嗅覚が大事

 最後のミステリー、グロかったね……。まあでも、ホラーは苦手だけどグロならいけます、私。

 証拠とか論理とか分からんけど、嗅覚で犯人を当てるタイプ。したり顔しました。

 というか登場人物の全員が狂気的なんよ。

 

いろいろなジャンルを描く乙一さん

 つらい世界が多いので「クソ~!」って思いながら読んでたけど、多様なジャンルの物語が読めて面白かったです。

 乙一さんの著書は「白乙一」「黒乙一」って作風が極端に分かれているそうですね。この小説が初読みでしたけど、他の作品も気になる……。