青い夏の夢を見る

日記と読書備忘録

『シュガーアップル・フェアリーテイル 1〜17巻』三川みり/角川ビーンズ文庫

 〝全〟17巻って表記にならないのが嬉しいところ。

 現在進行形でアニメ化されていますね。アニメもゆっくり追ってますが、キャラデザが好みなうえ画面が華やかで当たりアニメ! と嬉しく思っております。毎週の楽しみになってる。

 界隈が盛り上がってる今こそ、読むときでは? と思い、長らく積んでたけれどようやく読みました。一回読み始めたら、止まらない、止まらない。本当は味変しながらゆっくり読み進める予定だったのに、先が気になりすぎて半月かけて一気読みしちゃいました。

 

 何年振りかに発売された新刊は、〝新章〟らしいですね! これからも続き出るのかな? すっかり銀砂糖師のファンになったので、新刊を追えることがとても嬉しい。

 新章を読み始める前に、一度完結した17巻までの感想をまとめようと思います。見事な大団円の、余韻に浸るためにも。

 1冊1冊の感想書きたいのが本音だけど、自分のラノベの読むスピードに筆が追いつかないのでまとめ書き。1冊1冊書いてたら、1日に4投稿しなきゃいけなくなる……。

 

 以下、感想です。17巻までのネタバレ、不意に現れます! 読了後推奨!

 

引きの強さ、短編の多さに界隈が盛り上がってた時代を感じる

 私は一年前くらいから読書を始めたばかりの初心者です。そんな初心者マークをつけた私でも、少し前の時代の方が少女向けラノベ界隈は盛り上がってたんだろうな、と薄々感じてます。長編シリーズの刊行数の多さからして。

 そして大いに盛り上がっていたであろう時代の、看板とも言える『シュガーアップル・フェアリーテイル』。まず、次巻への引きの強さが新鮮でした。次巻以降が確約された大きな引き、最近の小説ではあまり見かけない気がして。長編シリーズとして大枠は続いていても、1冊でも綺麗に収めてる印象が強いです。

 う〜ん、羨ましい時代。どうしてその頃私は小説に興味がなかったのか……。思い出フィルターはあると知っているからこそ、なおさら惜しい。当時読んでいれば、きっと今以上に心に強く根付いた物語になっただろうな。

 

 シュガーアップルは流れるように話が展開していくので、めちゃくちゃわくわくしながら読んでました。ストーリの起点も、前々から丁寧に伏線が張ってあるのでとても自然。終盤に明かされる真実も、実は1巻から関係あったりして本当に面白かった! 作者が考えていたことを最後までやりきってくれて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

 そして、ここまで広がるストーリーの基盤を序盤から積み上げてた三川みりさん、すごいな~という気持ち。そりゃ世界観の濃いファンタジーになるはずだよ。

 

綺麗ごとを言うヒロインに襲い掛かる試練

 こんなに根拠もなく手段もなく、祈るように綺麗ごとを言うヒロイン、最近ではあまりみかけないので微笑ましい気持ちになりました。ストーリが進む中で、ヒロインがや立場や手段を手に入れていくの、めちゃめちゃ楽しいじゃん。成長物語っていいよね~!

 そんな理想を語るアンですが、襲い掛かる試練はわりと容赦ない。主人公なので試練があるのは当たり前なんだけど、その試練のほとんどが他人の悪意だから、読んでて辛くなるときもありました。でもどんなにめそめそ怒りながら読んでても、最終的には「最高小説じゃん♪」になるの、最高小説すぎるんだよな(ツイッター構文)

 

主役三人、全員大好き

 定期的にシャル・フェン・シャルにめろめろになってる。

 序盤の、人間の気持ちが分からないなりに理解しようと努力しているシャルも好きだし、気持ちをぶっちゃけて好き勝手してるシャルも好きだよ。妖精の立場とか人間の立場とかいろいろ考えながら読んでた場面があったんだけど、シャルの麗しの1枚絵が現れて全てがどうでもよくなっちゃった。シャル、お前が王様だ……。

 

 アンが職人の誇りのために、偉い人に喧嘩を売るシーンが大好きです。恋愛ファンタジーだけど、根っこに「砂糖菓子」っていう、アンにとって譲れないものがあるのが本当に良い。心の中に芯が一個あって、努力し続けるヒロインは惚れちゃうね。

 

 そしてミスリル・リッド・ポッド!! 彼のこと、こんなにめちゃくちゃ好きになるなんて最初は思ってなかったよ!

 もう何度ミスリルに救われたか分からない。太陽のような存在でした。この小さな妖精が心の支えだったから、中盤の展開は本当につらかった。ミスリルは紛れもなくアンの王様です。戴冠式、本当に良かった。アンがわくわくしながら王冠作っているところも含めて、トップレベルで好きなシーンかも。

 

キャット、ヒュー、お前たちだよ

 問題のこの二人です。以下は感情という感情をぐちゃぐちゃにされてる私。

 私が「キャットとヒューのこと、スペシャル好きかも」と思い始めた途端、2人の挿絵が急増したんですよね。これってつまり、そういうこと? 読者の気持ちは、一致してる……ってコト!? ありがとう、ありがとう当時の読者方!!!! 皆様がキャットとヒューが好き! って示してくれたおかげで、未来の私が救われています。

 

 キャットに惚れたのは、キャットがアンに技術を乞うシーンです。その前から惚れる予兆はあったけど、自分よりレベルの低い職人にも素直に教えを乞う姿勢に完ッ全に落ちました。好きだよ……技術に貪欲で変な意地張らないとこ……。

 それ以降、キャットが登場するとワッと心が沸いてしまうようになってしまった。ごめんアン……シャル……君たちはこんなにシリアスに頑張っているのに……私を許して……。

 

 ヒューもずるいよね。立場のせいで自由に動けない大人、好きになっちゃうじゃん。自分の目的のために冷徹な判断を下せる人、好きだよ。普段人を揶揄ってばかりの人が、ある一面で真面目になるの、本当にずるい。

 未来の話は普通に騙されて「は?」って怒りました。でもよかったよヒュー、ゆっくり休んで……いや本人には休む気がなさそうだけど……自分の好きな砂糖菓子作ってくれ……。

 

 キャットとヒュー、単体でもこんなに好きなのに、基本セットで登場するからさぁ……。心の底では信頼して認め合っている二人が、顔を合わせるとぎゃんぎゃん言い争ってるの、好きに決まってるでしょ。キャットがヒューの立場を終始気にかけていてマジで可愛い。ヒューがキャットを揶揄いたくなるのもしょうがない。

 最終巻(17巻)のキャットとヒュー、見ました?? 何あれ? 私は何を見せられてる?? どうにかしてキャットの視線の先、私ってことにならない? ならないか……。視線上向いてるもんね……。

 キャットとヒュー、夢小説余裕でできます。こんな公のブログで夢小説とか言い出して本当に申し訳ないんですけど、「夢小説できる」は私のキャラ褒め言葉の最上級に位置するので許してください。夢小説、できます!

 まじで中盤以降、一巻に一回はキャットかヒューの挿絵が現れるようになったので、毎回高笑いしてました。あははははは、顔が良い!

 

最高の大団円、しかし、まだ続く!

 人間王と妖精王を繋ぐ、細い糸。それはきっと砂糖林檎の紡ぐ糸とリンクしてるんだよね。きれいなストーリーだなぁ。

 最終巻ではエリルがそれなりにしっかりしていて、今じゃラファルの方が子供みたいだなと感じました。大満足の大団円。

 

 嬉しいことに、砂糖林檎のある世界を覗けるみたいなので、余韻に浸ってから新章も読もうと思います!

 

 半分くらいヒューとキャットの話してる……。